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2018/02/28

渇望

チームがしっかり機能して連勝を果たしたJプロツアー沖縄2連戦。

選手全員がその役割をきっちり果たす中で、個人的に目を惹いたのがベテランの2選手。

増田成幸と鈴木譲だった。

2人に共通して感じたのが、「渇ききっていた」のだろうな、ということ。

バセドウ病の治療に専念せざるを得なかった昨シーズン、増田が出場したレースは数えるほどしかない。

だが、その数えるほどしかないレースで、増田は自身の力が日本人トップ選手であることを、きっちり証明してみせた。

そう、バセドウ病の症状さえ落ち着いてくれていれば…。

“自転車に乗りたい”

“レースに出たい”

“レースで強力なライバルたちと真正面からぶつかり合いたい”

自身が抱える病のために、その願いが叶わない日々が続いていく。

増田の心は次第に、自転車に乗ることを、レースに出ることを、そしてレースで活躍することを渇望するようになっていった。




増田と置かれた状況は異なるが、鈴木譲の昨シーズンも決して平坦ではなかった。

自身のコンディションも万全という訳ではなかったが、それ以上にチームが置かれた状況を前に

苦しむことが多かった。

鈴木真理、増田が療養のために不在、阿部嵩之もトラブル続きで怪我が重なった。そして、U23の若手3選手も、日本代表の海外遠征で長期間チームを離れていた。

鈴木譲、阿部、飯野智行、馬渡伸弥の4選手で、数的不利の状況の中、何とかレースを走り続ける日々。

それは少ないチャンスをものにして勝利を目指すチャレンジであったとともに、万全の戦力で攻勢を強めるマトリックスパワータグとの戦いの傷口を広げないように耐え忍ぶ苦行でもあった。

そんな中でも鈴木譲は諦めることなく、チーム全体を見渡し、中堅選手たちを鼓舞し、チームリーダーとして気丈に振る舞っていた。

しかし、心の中では間違いなく葛藤があったはずだ。

“メンバーが揃ってさえいれば”

“後手を踏むレースばかりしていたくない”

“追い求める理想のレース展開で勝ちたい”

鈴木譲の心もまた、フルメンバーで戦うこと、理想のレースを繰り広げること、そして勝つことを渇望していた。





そんな中で迎えた、2018年のJプロツアー開幕2連戦。

増田と鈴木譲は、それまでの渇ききった心を潤すかのように、楽しそうに走る姿を見せた。

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©Nobumichi KOMORI/HATTRICK COMPANY


自転車に乗れる喜び、レースを走れる快感、頼れるチームメートがいてくれる安心感。そして何より、チームメートともに勝利を掴み獲る達成感。2連戦で見せた2選手の走りからは、そんな想いが溢れ出ていた。

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©Nobumichi KOMORI/HATTRICK COMPANY

しかし、2人の渇きが完全に潤された訳ではない。まだまだ渇いている。

今年1年、開幕2連戦のような走りができて初めて、2人の心は完全に潤うはずだ。

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