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2017/06/14

次世代のエースが得た「自信」と抱える「焦り」

身に纏っている雰囲気がガラッと変わった。そう思う瞬間が2日間で何度もあった。

U23日本代表としてチェコ共和国で開催されたネイションズカップに出場し、個人総合18位の成績を残して帰国した雨澤毅明がJプロツアー那須2連戦で見せる姿に、トップライダーたちに共通する風格のようなものが漂っているように感じたのだ。

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photo(C):Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY

そう感じられるようになった要因を考えてみて思ったのが、自らが手にした「結果」を「自信」に変えることができているのだろうということだ。

療養中の増田成幸を欠く中、エースとしての重責を背負って臨んだツアー・オブ・ジャパン。ひとつのミスでタイムを失い、順位が大きく変わる毎日。そのプレッシャーを一身に受けながら、雨澤は日本人選手で2番手、U25の選手でも2番手となる個人総合13位を記録した。

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photo(C):Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY


昨年、日本人選手最上位の個人総合10位となった増田と比較しても決して見劣りしない数字は、雨澤が次世代という括りではなく、現時点でも日本のエースになり得る選手であることを証明した。

その後に出場したチェコ共和国でのネイションズカップ「COURSE DE LA PAIX」でも、エースとしてクイーンステージとなる第2ステージで18位、個人総合も18位となると、第3ステージでも個人総合順位をキープし、U23日本代表に初となるネイションズカップポイントをもたらす走りを見せた。

わずか2週間の間に、大きなプレッシャーがかかるふたつのレースをエースとして走り、大きなミスを冒すことなく、最高ではないものの目に見える結果をしっかり残した。こうして結果を積み重ねたことが自信につながり、短期間で雨澤が身に纏う雰囲気を変えたのではないかと感じている。

同時に、レース中の雨澤を見ていて感じたこともある。それは未だに彼が「焦っている」ということだ。

これは何も、レース展開に慌てているということではない。

「世界」と自分自身の立ち位置を比較した時に、遅れをとっていることに対して焦りを覚えているということだ。

2016年に伊豆大島で開催されたアジア選手権の後から、雨澤は常にその焦りを抱えていた。

“アジアの強豪国に遅れをとっているようでは、その先にある世界になんて辿り着けるはずがない”。そう痛感した雨澤は、同年の全日本選手権もU23ではなくエリートに出場するなど、目に見える結果を追うのではなく、ただ強くなることだけを追い求めた。

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photo(C):Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY

そして1年が経ち、ツアー・オブ・ジャパンとCOURSE DE LA PAIXという2レースで目に見える結果を雨澤は手にした。しかし、それでもまだ上には上がいるということを改めて痛感したのだろう。

だからこそ、Jプロツアー那須2連戦で雨澤は逃げ集団に入り、積極的に集団を牽引し続けた。
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photo(C):Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY


コース的に勝負を託されるエースではなくアシストという役割でも、雨澤はこのレースのゴールではない、そのはるか先にある「世界」という目標を見ていたのではないかと思う。

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photo(C):Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY


“このレースでこれぐらいの走りができないようでは、世界に追いつけるはずがない”


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photo(C):Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY


一心不乱に逃げ集団を牽引する雨澤の姿から、自分はそんな焦りをひしひしと感じていた。

「自信」と「焦り」が同居している今の雨澤を見ていて、ひとつだけ確信していることがある。

それは、間違いなく彼は今よりもっと強くなり、日本を代表する選手になるということ。

そして、増田という絶対的エースを欠いている今シーズンが、その始まりの1年になるような気がしている。

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