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2017年4月

2017/04/26

完全復活の途中で

「最後まで走り切るのは難しいと思ったので、行けるところまで積極的に行って、少しでも皆んなの役に立ちたかったんです」

JPT第4戦「JBCF東日本ロードクラシックDay-2」の途中でレースを降りた飯野智行は、原因不明の頭痛に顔をしかめながら言った。

前日のJPT第3戦のレース中盤、突然、飯野を襲った頭痛。もがけばもがく程強くなっていくその痛みを堪えながら、飯野は何とかレースをフィニッシュした。
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そして迎えた、翌日のJPT第4戦。
幾分、痛みは治まったものの、飯野の中で「完走」は現実的なものではなかった。

スタート前から数的不利を抱えるチーム。その少ない頭数の一人である自分が、満足に仕事を果たせない状況。

「行けるところまで行く」
飯野がたどり着いた結論は、チームメートの脚を少しでも残せるように序盤の動きを一手に引き受けることだった。
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今年に入ってから、飯野は2回の落車を経験している。

1度目はチームトレーニング中に飛び出してきた巨大イノシシと衝突して。
2度目はツール・ド・とちぎ第3ステージ終盤での落車だ。



2013年のJPT白浜クリテリウムでバイクが吹き飛ぶほどの激しい落車に遭いながら、レースに復帰して最後まで走りきった過去を持つ飯野は、選手の中でも骨太で丈夫な身体を持った選手という印象を受ける。



しかし、そんな丈夫な飯野でも短期間で2度の落車に遭った「勤続疲労」は間違いなくある。ひょっとすると、突然の頭痛は何かのシグナルなのかもしれない。

幸いなことに、レースはしばらくの間ない。
その間にしっかりと痛みの原因を探り、改善できる部分は改善すること。

かつて「サプライズ」と言われた走りを取り戻しつつある中、完全復活への歩みを緩めてはいけない。

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2017/04/12

名将への階段

のっけから偉そうな物言いをさせてもらえば、このタイミングでこの人が監督で良かったと思う。

宇都宮ブリッツェンを正常進化させ、日本国内はもとよりアジアでも戦えるチームへと導いたのは、熱烈なファン・サポーターとスポンサーの支え、運営会社スタッフの頑張りはもちろんのことだが、清水裕輔の監督就任も非常に大きな要因だと感じている。



まだまだ苦しい台所事情が続いていたチーム創設期から2013年まで、監督を務めていた栗村修氏の功績は今でも多くの人の記憶に残っているところだ。

しかし、業界全体を見ると、知名度も抜群の栗村氏は一チームの監督にしておくのは勿体ない存在。もっと業界全体をレベルアップさせる立場に行く必要があったのは、現在の栗村氏の活躍ぶりを見れば嫌というほど分かるだろう。



2013年秋、栗村氏が監督を退くことを聞いた時、次の監督が誰になるのか非常に不安を覚えていたことを思い出す。

宇都宮ブリッツェンはそれまでの国内ロードレース界で考えるとかなり特殊な存在のチーム。「地域密着型」というフィロソフィを理解し、咀嚼できない人が監督になれば、チームが方向性を見失うことは容易に想像がついた。



しかし、その不安は杞憂に終わった。

清水裕輔はすぐに「地域密着型」という絶対にブレてはいけないフィロソフィを自分の物にし、自身がこれまで積み上げてきた選手、チームスタッフとしての経験や知識と絶妙なバランスで融合させ始めた。

その結果が、就任3年目となった昨季の躍進につながったのだと感じている。



そして、就任4年目の今季、清水裕輔監督体制は第2フェーズに入った。

今季は経験豊富なベテラン勢と将来有望な若手選手にきっぱりと分かれたメンバー構成だ。選手個人個人の能力に疑いの余地はないが、一歩間違えれば世代間の断絶を生むリスキーな布陣と見ることもできる。

そんな選手たち一人ひとりを見極め、チームをもうワンランク進化させるためにどんなアプローチをしていくのか?

「地域密着型」チームのフィロソフィを理解し、業界にも精通した知将・清水裕輔が名将への階段を上っていくのが楽しみで仕方がない。

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2017/04/05

足がかり

「最後スプリントできなかったのは悔しいですけど、UCIレースである程度の結果を残せて自信につながりました」

初開催となったツール・ド・とちぎで個人総合6位、そして新人賞ジャージを獲得した岡篤志は、レース後に悔しさと安堵が入り混じった表情を見せた。


2年前、若手日本人選手の中で「世界」に最も近い場所に居る一人だった。

しかし、「世界」へと続く道は非常に険しく、岡は失意の帰国。競技を辞めようかと考えることもあった。

それでも、岡は周囲の厚いサポートもあり復帰。昨年はJエリートツアーで無類の強さを見せて今年から宇都宮ブリッツェンに加入した。




「リスタート」
岡にとって今季は、そんな一年。

その序盤でのレースで結果を残したことで足がかりは得た。
少しの間止まっていた岡の「世界」への挑戦は、再び動き出した。

そんな岡のすぐ近くには、自身の現在地を知る格好のライバルが2人いる。
現在、U23ナショナルチームで欧州遠征中の雨澤と小野寺だ。

実は、ツール・ド・とちぎの期間中、新人賞ジャージをキープした岡が「これでまた、強化指定選手になれますかね」とポツリと漏らしたことがあった。

目に見える結果を手にした自分も、雨澤や小野寺と同じラインに再び…。そんな想いが見え隠れする瞬間だった。



だが、焦りは禁物。

まずは、Jプロツアー開幕2連戦で獲得したピュアホワイトジャージをしっかりキープし続け、勝負に絡む走りを続けること。

結果を出し続ければ、そう遠くないうちに吉報はむこうからやってくるはずだ。


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photo(C):Nobumichi.Komori/HATTRICK COMPANY

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